テロ対策
ロンドンで地下鉄テロがあった日、オーストリアのウイーンから戻ってきたという生徒と話しました。その日の空港でのチェックはそれはそれは厳しいものだったそうです。テロの直後ですから、それも仕方ないかもしれませんが。
今回のテロはヨーロッパ始まって以来の自爆テロと言われています。これまでの常識(テロリストは自分の命と引き換えにテロは起こさない)はすでに過去のことになったようです。
もう15年も前のことですが、オーロラを見にスウェーデンの北極圏の町、キルナに行ったことがあります。1週間の滞在を終え、キルナから首都ストックホルムに戻るフライトが遅れに遅れました。説明を聞くと、爆弾が仕掛けられたという情報があったからだとのことでした。そうこうしているうちに、搭乗手続きが開始。
すると事前にチェックインしたはずの荷物が航空機の前に積んであるではありませんか。その不思議な光景に驚きましたが、謎はすぐ解けました。乗客が航空機に乗り込む際に、自分の荷物を指差すのです。そうすることで、持ち主のない不審な荷物を特定するというやり方でした。もちろん、この前提には、「犯人は自ら死は選ばない」ということがあります。
自爆テロが頻繁に起こるようになると、自分の荷物を指差すというような方式はもう使えなくなります。まして、東京の地下鉄やJRで徹底したテロ対策をやろうとすれば、警察官や警備員の数を何十倍にも増強しなければならないでしょう。新聞を開くと、「日本潜伏アルカイダ六本木の隠密行動」「アルカイダが夏に狙う靖国神社:監視対象者は日本国内に700人」というような週刊誌の見出し広告が目に飛び込んできます。恐ろしい時代になりました。
最高のテロ対策は、外にでないことでしょうか。これからの人生は楽しくないことが増えそうです。実は、このメンタリティを作り、社会を混乱させることが、テロリストの最大の目的なのかもしれません。そんな中、私の生徒で高校2年生のOさんは、予定通りサマープログラム参加のためロンドンに出発するそうです。これもテロに立ち向かうひとつの勇気ある決断なのでしょう。