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講演記録 12/16「多読〜絵本から洋書のペーパーバックへ」

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 「今日は小さな声で話す練習をしたいと思います。」と始まった多読の講演、酒井先生。とっても楽しい、辛口なお話をしていただきました。
 多読って何? その字の通り、「とにかくたくさん本を読む」ということです。
 「教えない」「おしつけない」「テストしない」。まずは絵だけの、字のない絵本から始め、次に1ページにつき3文字程度の簡単な英語の絵本。もちろん字は大きく、無理のないものから。酒井先生の大学でも字のない絵本から始める学生もいるそうです(文字への抵抗をなくすため)。だから漫画だっていいんですって!
 検定教科書の中には、絶対あり得ないシチュエーションや会話の流れがある。そんな教科書を高校でも実際まだ使っている。英語の先生は、現実世界ともかけ離れ、物語が展開するわけでもないのに、そういう内容を流せる。それが教科書。
 それに対し多読では、一つの本には一つの世界があり、統一性もあるんです!(*1)と、声がだんだん大きくなってきてしまった酒井先生。その中に出てくる単語は、全てあるべき場所にある。その絵にぴったりの言葉があって、その言葉を追っていくと、必ず展開があり、落ちがある。ここが教科書との大きな違い。もちろん、学校の授業は、多読の教えとは切り離して頑張りましょう。
 最初は絵がたくさんある絵本から進んでいって、そのうち絵が少なくなっても、辞書を引かない。目安は100万語を読むこと。100万語っていうと、薄いペーパーバックくらいの本を20冊。100万語分を何冊もの本を使って読む。多読三原則「辞書は引かな」「わからないところは飛ばす」「つらくなったら途中でやめる」。
 実はこの多読という言葉は、夏目漱石の時代から使われている。「多読はいいものだ。ある程度英語をおさめたら、辞書も引かずにたくさん読むのがいい」
 夏目漱石は、英語のレベルが高くなってから始める、と言っている。けど、僕はゼロから多読は始められる(*2)と、酒井先生。
 この2つ(*1、*2)が多読が広まったキー。
 難しくなってきて解らない単語が出てきたとき、なかったことにしよう。なかったことにしなさい。想像もしなくてもいい。大事な単語を無視すると、意味がわからない。それでも前のページに戻らない。その文もなかったことにして、次に進む。読み進めているうちに、こんどは主人公が誰だかわからなくなってくる。どうしよう。そんなときは途中でやめる。その本を読むのをやめましょう。それがその本との永遠の別れになるわけではなく、またいつか読むと不思議と意味がわかることもあるのです。
 真面目な人には辞書を引かないということは非常に難しい。解らないところを飛ばすなんて絶対嫌! でもそうではなく、気楽に、さらっと読もう。机の上が汚い人、お家を片付けられない人…。いいんです。英語の本を読むときだけ几帳面になるのではなく、その気楽さを多読にも活かしましょう。楽しい本しか読まない。そうしているうちに自然と力がついてくるんです。辞書も鉛筆もいらないから、どこでも読める。多読を始めた人の中には、待ち時間が待ち遠しくなってしまい、歯医者、駅での時間が嬉しくて仕方ないという人もいるんだそうです。
 でも、お金がかかります。100万語読むにはかなりの冊数を読まなければいけない。それを全部自分で買うのではなく、ジョイにも多読用の本がたくさんありますからどんどん借りて、活用してください。
 シャドーイング=聞こえた言葉を聞こえるままに繰り返すこと。赤ちゃんはお母さんのお腹の中でシャドーイングをしている。ものすごく効果がある。子供のように聞こえたままに繰り返す。耳と口を直結させること。そして英語と日本語には同じ音がない。これは実際にあった話。イギリスでお土産に紅茶を買いたくてスーパーへ。店員さんに「Where is tea?」と尋ねると、全く違う品物の売り場へ案内されました。その方、また別のスーパーで店員さんに尋ねました。するとまた、全く違う品物の売り場へ。しかし、その二箇所はいずれも同じ商品の売り場。さて、何の売り場でしょう。「Key」そう、鍵売り場だったのです。
 今まで、音というのは7・8歳までに形成されるから成人してから英語(特に発音)を習得するのは無理という説がありましたが、このシャドーイングを用いて勉強すると自然な音を身につけることができます。
 2歳から読み聞かせという形で多読が始められます。多読には敷居がない。でも天井は高く間口は広い(英語力がゼロの幼児から、70代の方、はたまた英検1級の方にまで)。また、奥行きも深い!
 酒井先生の追っかけ!?でもある『近眼の独眼竜政宗さん』(ハンドルネーム)。実は学生時代から英語が苦手で、何とかできるようになりたい! と、色々な学習法を試してみたそうです。酒井先生の多読の講演を聞いても始めは半信半疑で、1冊目では挫折。2冊目は読み終えたけれども面白くなく、3〜4冊目でようやく面白いと感じるようになったそうです。
 いつしか自信が確信に変わり、今はこの学習法をたくさんの人に広めたいということで、多読の指導法を学習しているそうです。自分が面白いと思える本にはなかなか出会えないという人もいるかもしれませんが、どんどん借りてみる。そうすると、そのうち取っておきたくなる本に出会うんです。そうしたら、買えばいい。
…という熱いお話でした。みなさんも冬休み、薄い本から始めて、たくさんの本を読んでみましょう。
講師:酒井邦秀先生(さかい・くにひで/電気通信大学助教授、前多読学会会長)
 SSS英語学習法研究会代表。電気通信大学情報工学科助教授。1945年生まれ。若いころは文法と辞書に熱中し、次いでその愚を悟って、若い人たちに同じ道をたどらせたくない、と『どうして英語が使えない?』(ちくま学芸文庫) を書き、大学などで多読授業をはじめ、『快読100万語! ペーパーバックへの道』(ちくま学芸文庫) を書きました。著書はほかに『教室で読む英語100万語多読授業のすすめ』(大修館書店)、「ミステリではじめる英語100万語」(コスモピア)など。

2006.12.19 15:36
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