ぶた丼ミッション#3
アルファベットの子ども達に良く先生が聞く質問の一つに、”What color is this?”(これは何色?)というのがあります。色自体はみりゃぁ一目瞭然なわけですから、不自然な質問とも言えます。ま、最初は色自体を英語でなんと言うか覚えてもらうのが目的なので、そういう質問になる訳です。実際の生活の中では、ものを選ぶとき○○色のなんとか、とか○○色のを下さい、というような場合に応用されます。
ところが、今回の旅行で、この質問に遭遇しました!!
マディソンからシカゴまで飛ぶ飛行機の中での出来事です。フライト時間が一時間弱のため、飛行機自体は東京ー帯広間のような通路を挟んで左右2座席づつ、というかわいらしいサイズ。フライトアテンダント(客室乗務員)もたった一人で、黒人のおしゃれなヘアースタイルのおばさんで、全体的に恰幅のいい方でした。さて、飛行前のアナウンスも済んだので、私はシートベルトを締めて本を読み始めました。そこに、そのフライトアテンダントがやってきて、いきなり”What color is my sweater?”(私のセーターの色は何?)と聞くのです。
最初は何かのジョークかと思ってたのですが、私を見つめる顔がやけに真剣です。彼女は紺色のベストの上に子同じ色のカーディガンを羽織っていたので、”Blue, I guess.”(ブルー、だとおもうけど)と自信無く答えました。すると彼女は今度は反対側の座席に座った日本人二人に”What color is my blouse?”(私のブラウスは何色?)と聞くのです。彼女は英語ができない人だったので、”?”という表情。「ブラウス何色って聞いてるよ。」と私が通訳すると、その黒人のフライトアテンダントは、大きな声で、「誰か、この席替わって下さる人いませんか?」と叫んだのです。
そこで、あ!と気がつきました。私たちが座っていたのは、緊急脱出ドアの隣だったのです。つまり、緊急の時英語を理解する人がそこに座っていないと困る訳です。これまでいやんなるくらいアメリカの飛行機には乗っていますが、こんな事は初めての出来事でした。私の隣に座ったアメリカ人男性は、「たまにこういうこと聞かれることるんだよ。とつぜん、大事なものを3つ言いなさい、とか」「ヘ〜ッ」
その後、彼女は私たち緊急ドア席組の乗客に、「窓のところにこれくらい水が上がったら、こうして下さい」などと、恐ろしい指示をいくつかして伝えて立ち去りました。 幸い、われらの飛行機は事故や緊急着陸をおこす事無くシカゴに到着。帰り際「I’m so glad that we didn’t need to use the emergency door!”(緊急ドアを使わなくって良かったわ!)とフライトアテンダントに冗談をいったら、「私もよ」と笑ってくれました。
ということで、あなどってはいけない”What color is this?”(これは何色?)という質問の巻でした。ちゃんちゃん。