ニート
JICA研修員に対するオリエンテーションが今シーズンも始まりました。今回は年間で90分のセミナーを7回(「日本の経済」4回、「日本の社会と日本人」3回)担当します。そして、今日の午前10時40分から1回目の講座「日本の経済」をやってきました。90分も英語で講義するというのは、私にはこのオリエンテーションぐらいです。しかも今日は初日ということで、昨夜から緊張していました。
ほとんどの研修員はいまだに「日本人は勤勉で働き者」と考えているようです。そんなことから、私はニートの話題をあえて取り上げました。知っている人も多いと思いますが、「ニート」は“Not in Education, Employment, or Training”の頭文字を取ったもので、「働こうとしないし、学校にも通っていない。仕事につくための専門的な訓練も受けていない人たち」と定義されています。厚生労働省が2004年9月に公表した「労働経済白書」では、「2003年の平均で52万人に上り、前年と比べて4万人増加している」とのことでした。
フリーターの話には、「働きたくてもフルタイムの仕事がないだけでは?」なんて言っていた研修員でしたが、さすがニートの話には驚いたようでした。どこの国にも社会問題はあるものです。
私はこの仕事を1996年から受けていますが、いいことばかりではなく悪いこともきちんと伝えたいと考えています。そして、もうひとつ心がけているのは、なるべく現代の日本にフォーカスを当てるということです。そんなことから、講座の最後には毎回「今日の新聞から」というコーナーを作り、その日の朝刊をホワイトボードにはり、まるでテレビ番組のように最新情報を解説しています。今日は朝日新聞から「トヨタ利益、1兆円」という記事を取り上げました。
研修員は約3ヶ間の帯広滞在を経て母国に戻ります。彼らには本当の日本の姿を見て帰ってもらいたいものです。町のどこかで彼らに出会うことがあったら、気楽に声をかけてやってください。彼らは普通の日本人との交流を楽しみにしています。