スイスの思い出
今春も帯広畜産大学を何人かの名物教授が去りました。その中のひとりが沢田壮兵先生です。今日は2人でお祝いの”退官ランチ”を食べ、その後、大空にあるお宅にお邪魔させてもらいました。先生の息子さん(私の教え子でした)は最近結婚したのですが、式はスイスだったそうです。理由は「両親にもスイスを見せてあげたかった!」というのですから、泣かせます。
ベルン、ルッツエルン、ツエルマット・・・、私も大学4年生のときに旅した思い出に残る町並みや牧歌的な風景がたくさんアルバムに収められていました。でも、旅の思い出は必ずしもいいものばかりではありません。思い出には悪いものもあります。ユングフラウヨッホの写真を見て、私はその悪い方が頭に浮かびました。
インターラーケンから標高3、454メートルのユングフラウヨッホまでの鉄道の旅は、まさにスイスアルプスのハイライトです。40分ほどでお洒落なリゾート地グリンデルワルドに到着します。ここからアイガー北壁のふもとの駅で登山電車に乗り換え、トンネルを抜けるとヨーロッパで一番高いところにある駅、ユングフラウヨッホです。ここからは万年雪の大展望を満喫することができます。
そこまでは天気もよく最高の旅でした。ところが、私の重大ミスは、下りの登山電車に乗車する前にトイレに行かなかったことから始まりました。つまりジェームズ・ボンドの鉄則のひとつ、「トイレがあれば必ずそこで用をたす」に従わなかったのが、そもそもの間違いだったのです。電車の中にトイレがないことに気づいたときは、後の祭りでした。
我慢しても我慢の限界はあります。だからといって、途中下車などさせてくれるはずもありません。次第に額からは脂汗が出てきます。乗車時間が2倍、3倍にも感じられました。そして、もう限界を越えようとしたときに電車はホームへ。私はもうろうとした状態でトイレに直行しました。