カルビー
農業王国、十勝に再び激震が走りました。製菓大手カルビーの子会社カルビーポテト(本社・帯広市)が、ポテトチップスの原料となるジャガイモの種イモを、国の検査を受けないまま契約農家に譲渡してしまったというのです。北海道警は同社や東京のカルビー本社などを植物防疫法違反容疑で家宅捜索。数年前の雪印問題を思い出させるようなスキャンダルに、驚いた人も多かったと思います。
もう15年以上も前のことになりますが、カルビーから通訳の仕事をもらったことがあります。アメリカからの大学教授とともに、帯広をはじめ北海道各地に点在する工場を回わりました。ポテトに関する通訳は初めてだったので、とにかく専門用語が分からず苦労したことを覚えています。「なんぷ」と言われ、それが「なんぷ」のことかちんぷん「なんぷ」んで、困まりました。それは「軟腐」(soft rot)というポテトが腐る病気のことでした。
あのとき各地で話を聞いた農家の方々、貯蔵施設で働く人びと、技術者の人たちが「白いポテトチップを作るのは大変なんです」と口をそろえて言っていたのが印象的でした。ポテトチップスは私の大好物です。食べる側の私は色まで気にしたことはなかったのですが、そんな細かいところまで配慮できるのがカルビーが業界NO.1である所以だ、と私は勝手に解釈したものです。
安全な食文化を育てる先進地としての「十勝ブランド」が確立しつつあるときに、この問題は大きな波紋を広げそうです。雪印しかり、なんと間が悪いのでしょうか。今後このようなことが起こらないように、十勝の食材は本当に安全なのか、多方面から徹底的に検証する必要があるのかもしれません。それが明日の十勝の発展につながるはずです。