通訳
26日から帯広を舞台にスローフードのリーダー会議が開催されています。世界的な第一人者のカルロ・ペトリー二国際スローフード協会会長の講演会があるというので、気楽な気持ちで会場のとかちプラザに行って驚きました。なにせ会場は満員で中に入れないというのです。会場まで足を運びながら、別部屋でテレビ画面を見ながら講演を聞くというのは実に情けないことでした。
内容的にはおもしろかったのですが、それ以上に私が感心したのは通訳です。スローフード協会の方とのことでしたが、なかなか絶妙な通訳をしていたように思います。もちろんイタリア語から日本語ということで、それが正確な通訳だったかどうかは分かりません。でも、聞いていて流れに違和感がなく、内容も十分に理解できるということは、「うまい」と判断していいのではないでしょうか。
最近でこそ人前で通訳をする機会がなくなりましたが、20代から30代にかけ、私もよく通訳の仕事をやっていました。その頃でさえ、会場に明らかに英語ができそうな人がいたりして、そんな時はその人の顔色が気になったものです。先日、通訳を生業にしているジョイの元生徒と話す機会がありました。彼の話では、近頃はどこに行っても英語ができる人が必ずいるそうです。そういう人はその分野の専門家であることも多く、通訳としての限界を感じると話していました。通訳も英語ができるだけではどうにもならない時代が帯広・十勝にも到来したことになります。
ところで、このカルロ会長が個人的に気に入りました。特にネクタイをしていなかったのがよかったです。スローフードに、ネクタイとスーツは似合いません。きっと彼は、イタリアでは普通のおじさんじゃないでしょうか。日本は権威主義なので、会長というと必ずどこかの大きな会社の社長さんがなってしまうのが限界です。そう言えば、セミナー会場にネクタイとスーツ姿の人たちが目に付いたのが気になりました。スローフードもブームになってはダメですよね。