面接
英検の面接をするようになってかれこれ25年が経ちます。毎回、ドキッとするような経験が楽しみなのですが、さすが最近はその数も減ってきたようです。でも、昨日は雪のため会場の帯広畜産大学まで行くことができないのでは? と一瞬困るほどの降雪量でした。
これまで一番驚いたのは、アメリカ人を面接したときのことです。英検準1級の面接に現れたその学生は、一見普通(?)だったのですが、英語は間違いなくネイティブでした。よくよく話を聞くと、カリフォルニア生まれの日系アメリカ人。親戚が住む十勝に移り住んで来たという彼は、「スラングを使うと減点されるのか?」とさかんに気にしていたのを覚えています。日本人がアメリカ人の英語力を診断するという、とても不思議な経験をさせてもらいました。
逆に私が面接を受けた際の衝撃的な告白をしましょう。英検1級の面接は、教室に受験者が集まり、目の前の封筒に入った題目からひとつを選びスピーチするという形式が一般的なようです。私のときも同じでした。そして、運命の面接は時計と逆周りに始まりました。私の番が終わり安堵感に包まれていると、隣に座った女性のスピーチが始まりました。「うまい!」、本当に『うまい!」。試験官のアメリカ人女性までもが、「あなたの英語は私のよりうまい!」。そんなうまい人の後にやった受験者はみな悲惨でした。
後日、その女性の名前を英検の機関誌に見つけました。「最優秀賞」、「副賞イギリスご招待」。名前は吉田かよ子(当時は「杉山」でしたが)。彼女は、当時カナダ留学から帰ってきたばかりで、アメリカンセンターに勤務していました。今では札幌の北星学園大学で教授をやっています。あのとき順番が時計回りだったら、ジョイの歴史は間違いなく変わっていたに違いありません。